2020年12月

4 件

ハッピーホリデー!
きょう仕事納めの方ももうちょっと働く方も年末年始も変わらずお仕事の方もお疲れ様です。今日から本更新です。といってもあらゆるものが試運転のため、春先までは温かい目で見てほしいです。よろしくお願いします。
今月のおすすめ本は以下の5冊です。

有閑貴族エリオットの幽雅な事件簿 2 /栗原ちひろ

[amazon asin=”4086803577″ kw=”有閑貴族エリオットの幽雅な事件簿 2 (集英社オレンジ文庫)”]ヴィクトリア朝ロンドンを舞台にしたオカルトミステリー2巻。
緊急事態宣言発令後、都会の本屋が軒並み閉まって本が売れないどころかスタート地点にも立てない「悪夢の4月刊」のうちの1冊だったエリオット1巻に重版がかかったことが個人的に今年の数少ないドラマチックなことだった。

社交界で知らないものはいない心霊マニア、「幽霊男爵」という通り名さえあるエリオットと「自分は人形です」と称するコニーが心霊事案ですったもんだーします。心霊マニアとはあくまでも表向きの分かりやすい話で、エリオットは本当に幽霊が見え、10代のころは生者と死者を区別できず苦労していたことも。その時の話が2巻の1話で語られます。色恋沙汰はそう多くはありませんが顔のいい男といい感じの関係性(複数)はあります。短編形式ですが世界観にどっぷり浸れる系なので読みごたえ抜群。

電子書籍:○

竜神さまの生贄になるだけの簡単なお仕事/夕鷺 かのう

[amazon asin=”4047364347″ kw=”竜神さまの生贄になるだけの簡単なお仕事 (ビーズログ文庫)”]「自分を(物理的に)食べてほしい聖女見習いルーチェ」VS「意地でも食べたくない竜神オルフェン」

「私を食べてください」と異形の元へやってくる少女で連想される物語といえばLaLa本誌でコミカライズが絶賛連載中の紅玉いづき「ミミズクと夜の王」ですが、こちらとはいっそカテゴリ違いのレベルでコメディにステータスを振りきった物語です。ラブコメというよりはコメディ時々LOVE。
どのぐらいコメディかというと「オルフェン様の嫁とは思えないよくできた聖女だ」と言われて 「あの方の花嫁なんてそんな大それたものではありません。私はあの方専用のです」という問答をし、ことあるごとに「自分も食べませんか」と誘い、「私という肉がありながらどこの肉とも知れぬ肉(※ウサギ)は食べるんですね」と言いつつ自分でウサギの解体をしオルフェンのお世話もする押しかけヒロインです。
あと結構珍しいなと思ったのはオルフェン(男視点)で「お前くっそ可愛いな??????」って思ってるシーンがたびたびあるところです。

電子書籍:○

寝屋川アビゲイル黒い貌のアイドル/ 最東 対地

[amazon asin=”4065200016″ kw=”寝屋川アビゲイル 黒い貌のアイドル (講談社タイガ)”]アイドルグループNExTの人気投票で1位に駆け上がりセンターに抜擢された「るる」こと瑠璃丘類衣のアイドル人生はある日突如として終わりを迎えた。アイドルに戻りたい、でもこの顔のままでは戻れない。るるの顔は今黒いシミでおおわれている。

現代の医学では「異常は見られない」美容整形でも対応不可能と言われたるるが最後に流れ着いたのが「霊能者ブローカー」阿南だ。あの人ならなんとかできそうと言われて寝屋川までやってきた。一縷の望みを手繰り寄せてるるは東京から大阪は寝屋川市へとやってきた。この町は一味違う。東京は人にぶつかったとしても何も言われないが、この町は全身黒衣の自分を見て「カラスが寄ってくんで」だの「カオナシや」だの「暑ないんか」と話しかけられる。
るるの目当ては阿南の紹介でたどり着いた「アビゲイル」、アビーとゲイル。コンビの厄裁師だ。

帯には「新感覚ナニワホラー」って書かれているけど、人がなめらかに死んだり呪いとか死者とかそういうものが出てくるだけで「人が死ぬ物語」に抵抗がなければホラー耐性はなくても大丈夫です。具体的にいえば呪術廻戦が読めるなら大丈夫。
「あれ、なんでそんなこと言うの」っていうのがいい感じに伏線になってそういうことかーーーってなる感じの繰り返しなのでそういうのが好きな人にはお勧めです

電子書籍:○

蟲愛づる姫君の婚姻/宮野美嘉

[amazon asin=”4094066527″ kw=”蟲愛づる姫君の婚姻 (小学館文庫キャラブン!)”]中華で年の差婚とかお前のことは女と見れないとか蠱毒とか呪いとかそういう要素が含まれています。幽霊伯爵の花嫁読者なら宮野美嘉があの感じで中華恋愛ファンタジーを書きました、で説明が済むんですがもうちょっと書きます。
斎帝国の第17皇女で15歳の李玲琳(り・れいりん)は、ボロをまとい地べたに這いつくばり、蟲を愛し蟲術を使い、それでいて黙ってさえいれば多くいる皇女のうち誰よりも美しい少女だった。彼女が愛する姉にして斎の女帝の命令で玲琳は新興国魁へ嫁入りすることが決まった。玲琳の夫となったのは楊鍠牙(よう・こうが)25歳。玲琳は鍠牙と初めて出会った時こう聞いた。
「お前は私のために金を使ってくれる男かしら」

玲琳と鍠牙は「新婚夫婦」という単語が想起される「甘さ」はなく、かといって政略結婚の無関心や冷たい素振りもなく、お互い我が強く個性も強く、でもお互いの主義は主張しつつ、お互いの主張もある程度は尊重する、のような「このふたりならでは」の夫婦愛が見られます。
たとえば玲琳が両手を広げると「抱きしめてあげる」という意思表示です。
現在既刊4冊、来年1月に新刊、2月には初の短編集の刊行が予定されています。

電子書籍:○

2.43/壁井ユカコ

[amazon asin=”4087452921″ kw=”2.43 清陰高校男子バレー部 1 (集英社文庫)”]

福井の弱小バレー部を舞台に春高を目指すスポ根小説です。
レンザブローでWEB連載されていたものが一定期間ののち書籍化されました。人気なので続編をやります、を今冬ついにノイタミナ枠でアニメ化します。
既刊は単行本のみだと4冊。最初の2冊は文庫化されていますが上下巻仕様なので全6冊。現在新シリーズがWEB連載されています。

一番最初の物語の話をすると、群像劇として描かれているある青春の物語です。
口は悪いがバレーに関してはきっちり褒める情熱溢れるセッター灰島と身体能力は高いがプレッシャーには弱い黒羽、女子バレー部員でかつてエース、今はぱっとしない茨ちゃん、健康上の理由で屋外で運動できない棺野くん、小さいキャプテン小田、小田のシンメ相棒青木。
「青春って眩しいなあ」と、大して輝いてもなかった過去を振り返りつつ沁みる1冊です。

2.43 清陰高校男子バレー部 ポータルサイトでは詳細なあらすじ、登場人物表も公開されているのでこちらもあわせてご覧ください。

電子書籍:○

次回のレビューは1月25日更新予定です。

全国的にコロナウィルス感染拡大が広まっており、忘年会も新年会もしないでステイホームしてくれという流れが広がっています。「おうち時間を豊かに」の一環としてコバルト文庫では期間を区切って3シリーズの読み放題キャンぺーンが開催されています。

2020/12/18~12/24
響野夏菜『鳥籠の王女と教育係』
2020/12/25~2021/1/7
松田志乃ぶ『平安ロマンティック・ミステリー 嘘つきは姫君のはじまり』
2021/1/8~1/14
小田菜摘『そして花嫁は恋を知る』

3作とも10巻超ありますが、読みやすく面白い物語なので未読で時間を持て余しがちな方はぜひ。

2020年-2021年末年始企画 物語の最後まで読める!完結人気シリーズが勢揃い おすすめ3シリーズ読み放題リレー|集英社Webマガジンコバルト文庫,オレンジ文庫

2021年1月20日でオレンジ文庫が創刊6周年を迎えるにあたってフェアが開催されます。
6周年記念帯についているQRコードを読み込むとSSやエッセイを読むことができます。

SS・エッセイの担当作家は
青木祐子・阿部暁子・菊川あすか・香魚子・愁堂れな・白洲 梓・辻村七子・はるおか りの
です。ひとつのQRコードで全部読めます。(公開期間:2021年5月31日まで)

また箔押しのスペシャルしおりが封入されています。こちらは全4種ランダムです。

またWEBマガジンコバルト作品がオレンジ文庫から刊行されます。
久賀理世作「王女の遺言」 2021年1月20日発売

政略結婚のため、嫁ぎ先へ向かう道中、海賊に襲撃され生死不明となったガーランド王国の王女アレクシア。アレクシアと瓜二つの女優ディアナは、王の重臣グレンスター卿の依頼を受け、アレクシアの身代わり役を続けていた。
アレクシアの護衛官ガイウスは一瞬で身代わりを見破るが、本物のアレクシアが発見されるまではディアナを支えることに決める。そして一連の事件は、王位への野心をあらわにした兄王子ウィラードが仕組んだ「王女アレクシアの暗殺計画」の可能性があることに気づくディアナとガイウス。
一方、人買いに拉致されたアレクシアは、売られた先の娼館から脱出し、ディアナの一座の仲間である劇作家リーランドと行動を共にしていた。リーランドの助言から「王女アレクシア」を利用しようとするグレンスター家の陰謀に気づいたアレクシアは、危険を冒して王都へ戻り、ディアナと己の立場を、元通り入れ替えようと決心する。

王女の遺言|よめる|集英社Webマガジンコバルト

上記リンクから「最新更新分を読む」から2019年7月5日連載開始分から読めます。

はじめまして!
普段はcolorfulという読書感想系日記サイトを管理運営しているまろんと申します。
本当は15日にプレオープンのはずでしたが今日は「なにかをはじめるには良い日」だと聞いたので前倒しできょう開設します。なので、次お越しになる際は見た目や機能が変わったり追加されたりしているかもしれませんが、お、なんか変わったなあと思ってください。

とある秋がいい感じに深まった日の寝起きに「そうだWEBマガジンをやろう」と天啓のようにひらめいたので、本家とは別に立ち上げて読書系のWEBマガジンをはじめます。方向的にはダヴィンチより圧倒的に活字倶楽部です。活字倶楽部でピンと来ない方は弊ブログの読了カテゴリをぱらぱらとご覧いただければと思います。

更新頻度はとりあえず月1回25日をレビュー更新(その月の新刊や3か月内程度の作品、すごく古いやつで数冊取り上げる予定)します。続けられる範囲が分からないので春先ぐらいまではさぐりさぐりやっていきます。更新頻度は最低の場合で月1回ですが、上記colorfulはそれよりはもうちょっと更新しているので、書いている人のひととなりを知りたい方はそちらをご覧ください。

先日の少女小説ガイド配信で復刊とか刊行情報が手に入らないというコメントがありました。そういう情報収集先はいくつあってもいいだろうと思うのでそういう新刊ニュース系もとりあげようと思います。

取扱いジャンルですが
・ライト文芸
・ライトノベル
・エンタメ寄りの文芸
あたりで9割ぐらいになると思われます。主に女性向けの取り扱いです。
電子書籍はkindle(Amazon)を基準とします。
ちなみにBLについてはわたしが一穂ミチ作品と凪良ゆう作品以外はあんまり読まないので、取り上げるとしたらそのどちらかになると思います。
今現在特に推してる作家は栗原ちひろ・斜線堂有紀・有栖川有栖・辻村深月・竹岡葉月・紅玉いづき・野梨原花南・三浦しをん・加藤シゲアキのあたりです。
ファンタジーとミステリが好きです。密室殺人が好きです。ジャンプとガンガンとコバルト文庫と富士見ファンタジア文庫と電撃文庫と講談社ノベルスを読んで大きくなりました。

このWEBマガジンは私1人が趣味の延長でやります。今時点でおそらく内容は相当偏ることは想定されます。それにわたしが「これはWEBマガジンです」というだけで特にWEBマガジンのいろははこれから探っていく感じです。単に好きな作品を自由に推せる場所を増やしただけという話ですが、とりあえず春までは続けたいと思っていますので、応援の程よろしくお願いします。

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