ハッピーホリデー!
きょう仕事納めの方ももうちょっと働く方も年末年始も変わらずお仕事の方もお疲れ様です。今日から本更新です。といってもあらゆるものが試運転のため、春先までは温かい目で見てほしいです。よろしくお願いします。
今月のおすすめ本は以下の5冊です。
有閑貴族エリオットの幽雅な事件簿 2 /栗原ちひろ
[amazon asin=”4086803577″ kw=”有閑貴族エリオットの幽雅な事件簿 2 (集英社オレンジ文庫)”]ヴィクトリア朝ロンドンを舞台にしたオカルトミステリー2巻。
緊急事態宣言発令後、都会の本屋が軒並み閉まって本が売れないどころかスタート地点にも立てない「悪夢の4月刊」のうちの1冊だったエリオット1巻に重版がかかったことが個人的に今年の数少ないドラマチックなことだった。
社交界で知らないものはいない心霊マニア、「幽霊男爵」という通り名さえあるエリオットと「自分は人形です」と称するコニーが心霊事案ですったもんだーします。心霊マニアとはあくまでも表向きの分かりやすい話で、エリオットは本当に幽霊が見え、10代のころは生者と死者を区別できず苦労していたことも。その時の話が2巻の1話で語られます。色恋沙汰はそう多くはありませんが顔のいい男といい感じの関係性(複数)はあります。短編形式ですが世界観にどっぷり浸れる系なので読みごたえ抜群。
電子書籍:○
竜神さまの生贄になるだけの簡単なお仕事/夕鷺 かのう
[amazon asin=”4047364347″ kw=”竜神さまの生贄になるだけの簡単なお仕事 (ビーズログ文庫)”]「自分を(物理的に)食べてほしい聖女見習いルーチェ」VS「意地でも食べたくない竜神オルフェン」
「私を食べてください」と異形の元へやってくる少女で連想される物語といえばLaLa本誌でコミカライズが絶賛連載中の紅玉いづき「ミミズクと夜の王」ですが、こちらとはいっそカテゴリ違いのレベルでコメディにステータスを振りきった物語です。ラブコメというよりはコメディ時々LOVE。
どのぐらいコメディかというと「オルフェン様の嫁とは思えないよくできた聖女だ」と言われて 「あの方の花嫁なんてそんな大それたものではありません。私はあの方専用の肉です」という問答をし、ことあるごとに「自分も食べませんか」と誘い、「私という肉がありながらどこの肉とも知れぬ肉(※ウサギ)は食べるんですね」と言いつつ自分でウサギの解体をしオルフェンのお世話もする押しかけヒロインです。
あと結構珍しいなと思ったのはオルフェン(男視点)で「お前くっそ可愛いな??????」って思ってるシーンがたびたびあるところです。
電子書籍:○
寝屋川アビゲイル黒い貌のアイドル/ 最東 対地
[amazon asin=”4065200016″ kw=”寝屋川アビゲイル 黒い貌のアイドル (講談社タイガ)”]アイドルグループNExTの人気投票で1位に駆け上がりセンターに抜擢された「るる」こと瑠璃丘類衣のアイドル人生はある日突如として終わりを迎えた。アイドルに戻りたい、でもこの顔のままでは戻れない。るるの顔は今黒いシミでおおわれている。
現代の医学では「異常は見られない」美容整形でも対応不可能と言われたるるが最後に流れ着いたのが「霊能者ブローカー」阿南だ。あの人ならなんとかできそうと言われて寝屋川までやってきた。一縷の望みを手繰り寄せてるるは東京から大阪は寝屋川市へとやってきた。この町は一味違う。東京は人にぶつかったとしても何も言われないが、この町は全身黒衣の自分を見て「カラスが寄ってくんで」だの「カオナシや」だの「暑ないんか」と話しかけられる。
るるの目当ては阿南の紹介でたどり着いた「アビゲイル」、アビーとゲイル。コンビの厄裁師だ。
帯には「新感覚ナニワホラー」って書かれているけど、人がなめらかに死んだり呪いとか死者とかそういうものが出てくるだけで「人が死ぬ物語」に抵抗がなければホラー耐性はなくても大丈夫です。具体的にいえば呪術廻戦が読めるなら大丈夫。
「あれ、なんでそんなこと言うの」っていうのがいい感じに伏線になってそういうことかーーーってなる感じの繰り返しなのでそういうのが好きな人にはお勧めです
電子書籍:○
蟲愛づる姫君の婚姻/宮野美嘉
[amazon asin=”4094066527″ kw=”蟲愛づる姫君の婚姻 (小学館文庫キャラブン!)”]中華で年の差婚とかお前のことは女と見れないとか蠱毒とか呪いとかそういう要素が含まれています。幽霊伯爵の花嫁読者なら宮野美嘉があの感じで中華恋愛ファンタジーを書きました、で説明が済むんですがもうちょっと書きます。
斎帝国の第17皇女で15歳の李玲琳(り・れいりん)は、ボロをまとい地べたに這いつくばり、蟲を愛し蟲術を使い、それでいて黙ってさえいれば多くいる皇女のうち誰よりも美しい少女だった。彼女が愛する姉にして斎の女帝の命令で玲琳は新興国魁へ嫁入りすることが決まった。玲琳の夫となったのは楊鍠牙(よう・こうが)25歳。玲琳は鍠牙と初めて出会った時こう聞いた。
「お前は私のために金を使ってくれる男かしら」
玲琳と鍠牙は「新婚夫婦」という単語が想起される「甘さ」はなく、かといって政略結婚の無関心や冷たい素振りもなく、お互い我が強く個性も強く、でもお互いの主義は主張しつつ、お互いの主張もある程度は尊重する、のような「このふたりならでは」の夫婦愛が見られます。
たとえば玲琳が両手を広げると「抱きしめてあげる」という意思表示です。
現在既刊4冊、来年1月に新刊、2月には初の短編集の刊行が予定されています。
電子書籍:○
2.43/壁井ユカコ
[amazon asin=”4087452921″ kw=”2.43 清陰高校男子バレー部 1 (集英社文庫)”]
福井の弱小バレー部を舞台に春高を目指すスポ根小説です。
レンザブローでWEB連載されていたものが一定期間ののち書籍化されました。人気なので続編をやります、を今冬ついにノイタミナ枠でアニメ化します。
既刊は単行本のみだと4冊。最初の2冊は文庫化されていますが上下巻仕様なので全6冊。現在新シリーズがWEB連載されています。
一番最初の物語の話をすると、群像劇として描かれているある青春の物語です。
口は悪いがバレーに関してはきっちり褒める情熱溢れるセッター灰島と身体能力は高いがプレッシャーには弱い黒羽、女子バレー部員でかつてエース、今はぱっとしない茨ちゃん、健康上の理由で屋外で運動できない棺野くん、小さいキャプテン小田、小田のシンメ相棒青木。
「青春って眩しいなあ」と、大して輝いてもなかった過去を振り返りつつ沁みる1冊です。
2.43 清陰高校男子バレー部 ポータルサイトでは詳細なあらすじ、登場人物表も公開されているのでこちらもあわせてご覧ください。
電子書籍:○
次回のレビューは1月25日更新予定です。
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