6/16~6/24の間閲覧不能状態でした。この期間に読もうとしていた方がいらっしゃいましたら申し訳ありませんでした。まだ続けていく所存です。

葬儀屋にしまつ民俗異聞 鬼のとむらい 夕鷺かのう

似矢西待(にせや・にしまつ)23歳。
絶対に家業(葬儀屋)を継ぐまいと思うも今日も葬儀の場に出ている。西待のそばには、少年といっても通る容姿の年の離れた兄、東天(あずま)が常に存在する。彼は民俗学(および民族学)に詳しく、葬儀にまつわるいろんな知識を弟に垂れ流していた。
兄は実に優秀だったがのっぴきならない事情で跡目候補から外れた。西待は家業を継ぐ条件として、実家を継ぐまでの間特殊葬儀、フリーの葬儀屋として全国を巡ることに決めた。しかしメールフォームから届く依頼は犯罪の片棒を担がせるつもりのものばかり。
ようやく届いたメールは「先日亡くなった嫁の弔いをしてほしい」というものだ。
西待と東天は片道6時間半かけて東北地方の山奥へ飛んだ。

読み進めるほどに明かされる事実(ちょっとびっくりする感じの)とか、一見では分からない「人の悪意」とか不気味さとか、土着の文化とか冥婚とかそういうのが好きな人にはぜひともおすすめしたい1冊。
東天兄さんが結構口がたつ人で、掛け合いが相当楽しい感じなんですが、楽しい掛け合いからの落差! っていうのも温度差がすごくてよいです。
ちなみに葬儀屋が舞台装置なので死体描写や葬儀に関する描写がそれなりの分量で存在します。人死にを扱った物語は苦手だとか、近親者を亡くしたばかりとかそういう人は要注意でお願いします。

犬飼いちゃんと猫飼い先生 ご主人たちは両片思い 竹岡葉月

先日おいしいベランダが完結して後日談等短編集と同時刊行された新作。

転勤族の家庭に生まれ定住をきっかけに愛犬(名前はフンフン)と暮らし始めた三隅藍。
同じ動物病院に通っている犬にトラウマがある猫派鴨井心晴(愛猫の名前はキャロル。子どものころからずっとともに育ってきた)と出会い、「フルネームさえ知らないが気になる存在」から「お互いのペットを介した友達」となる物語です。女子高生と24歳生物教師の、今は友達どまりだけどゆくゆくは恋愛ものになるだろうと思われます。雰囲気はいつもの竹岡葉月作品で、いつもと違うのは飼い犬飼い猫視点の章もあるところです。
日常ものです。事件らしい事件は起こらないし犬猫が人間の姿を得ることもありませんが、ペットを飼ううえで避けては通れないことは大体起こります。