2021年

19 件

前期でオルタネートがノミネートされた時も驚いたんだけど、後期はスモールワールズがきた!

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4月のはと文庫オンラインvol.5で「スモールワールズ」と最新作(絶賛連載中)の光のところでいてねを取り上げたところですが、すごい! すごい! と小躍りした今日です。
はと文庫オンラインvol.5 | はと文庫オンライン
今後の楽しみが一つ増えました。

ところで6/14まで新書館60周年記念フェアで電子書籍が各書店で半額になっています。

一穂ミチのBL作品はディアプラス文庫でかなりの数が刊行されているんですけどこの際にお勧めしたいので書くと

イエスかノーか半分か【電子限定SS付き】 (ディアプラス文庫) Kindle版

去年劇場版としても公開されたイエスかノーか半分か。
二重人格レベルで外面(王子様キャラ)の作り込み具合が激しい人気アナウンサー国江田計は仕事でまずアニメーション作家都築潮と会い、その次はオフモードの計と潮が出会う。出会い頭の事故で潮は左手を負傷し自転車を押して2人は潮の自宅まで行き、計は潮の左手となり仕事を手伝うことになった。毒舌全開、すっぴんそのままの計をこの前仕事で会った国江田アナとは気づかれてないことから計は「オワリ」と偽名を名乗った。

とりあえずこれを書きながら未読の「さよなら一顆」を買い、ヒャッハーご祝儀だ! とイエスかノーか半分かを買いました。

さよなら一顆 (ディアプラス文庫) Kindle版

非BLではオレンジ文庫のきょうの日はさようならもおすすめです。

きょうの日はさようなら (集英社オレンジ文庫) Kindle版

本日5/25はあの新刊が出ます。

恩田陸の「麦の海に沈む果実」からつながる理瀬シリーズ、17年ぶりの新刊「薔薇のなかの蛇」が発売されます!
電子書籍の配信日は本日、紙書籍版は26日プラスマイナス数日ありますが、ここ2年ばかしは妙に「10数年ぶりにあの続編が世に解き放たれる」系をよく見る気がします。喜ばしいことです。

コンビニ兄弟 町田そのこ

久しぶりに大きめの書店へ行き、棚を歩いていたらなんか目が合ったので購入した本。
おりしもその日は本屋大賞受賞作発表の日で、えっこの人の本今日買ったよ!? ってなったタイミングのいい1冊でした。

本屋大賞を受賞した「47ヘルツのクジラ」は長編で比較的重めの物語ですが、こっちは連作短編です。「47ヘルツのクジラ」よりは軽いけど、軽い要素ののれんをめくったら結構ヘビーですよねこれ。

九州ローカルコンビニ「テンダネス」門司港こがね村店は名物店長がいる。
夜の仕事をした方がよほど儲かるのではないかと思うほどのフェロモンをまき散らす志波三彦にはファンクラブがある。構成員は主にコンビニが入るビルの上層階の高齢者専用マンションだ。

ライト文芸あるあるの、コンビニに持ち込まれる謎のようなライトミステリではなく、飯テロ小説でもないし、ほっこり小説でもないと思う。
「フェロモン店長」を主人公に据えたコミックエッセイをPixiv的なところで連載しているパート店員の話もあるけど、「夢にどれぐらい向き合うか」とか、「幼馴染の支配やいじめ」とか、「友人の死を契機に随分身近に感じられる死と余生の過ごし方」とかそういう感じの物語だ。コンビニはあくまで舞台装置で、6編の人生の物語。

52ヘルツのクジラの弊感想こちら→52ヘルツのクジラ/町田そのこ – colorful

東京ディストピア日記 桜庭一樹

2020年1月~2021年1月のコロナ禍の日記。

コロナ禍の日記は以前にも紹介した仕事本があるんだけど、これはそれとは違う。桜庭さんの日記であると同時に、「東京都知事がヒカキンさんのyoutubeに出演してステイホームを呼びかけた」「阪神の藤浪選手が感染した」「キリストの墓があるとされる教会が671年ぶりに閉鎖された」とかコロナ関連でこの日にはこういうことがあった、と振り返りができる。
できるんだけど、ものすごく遠い昔のような気もするし、なんでこんなに事態が変わってないんだろうということもある。

個人的にいいなあと思ったのは「三浦春馬さんは極端な選択を行い、亡くなってしまったというニュースが流れていた」という、2文字のあれではなく「極端な選択」という表記になっていること。検索したところ韓国だとこういう表記らしい。ずっとトレンドに三浦春馬○○という表記に嫌気がさして現在地をアイスランドにしていたわたしのような人間に優しい表記だった。

同種の本では英国ロックダウン日記もおすすめだ。

少女文学第4号

びっくりするぐらい豪華な雑誌風アンソロジーです。

執筆者・掲載作(敬称略)
特集『少女×戦争』
須賀しのぶ「魔女の選択」扉・梶原にき
紅玉いづき「戦場にも朝がくる」扉・☆
小野上明夜「蛙になったお姫様」扉・ゆき哉
東堂杏子「あなたはだあれ」扉・狐面イエリ
市川珠輝「竜乗りエッダ―箒星が流れたら―」扉・すみす
神尾あるみ「夜に咲く花」扉・島田ハチ
栗原ちひろ「雛が墜ちる」扉・itsumonoKATZE
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津原やすみ(SNS:津原泰水)「恋するマスク警察」扉・鳴海ゆき
若木未生「クウとシオ」

今30代で10代時分はコバルト沢山読みましたっていう人と、課金額問わずソシャゲやってる人はちょっと読んでほしい作品があります。
あと小野上明夜さんの少女文学作品は「隔離」って感じのブラックなものが放り込まれがちなんですが、今回は割とホワイトでした。でもこれは商業じゃ無理だって作品です。

紅玉さんの「戦場にも朝がくる」、本当にひどくて(絶賛の褒め言葉)これ以上読むの無理だって半日ぐらい家事して夜にようやく読むのを再開したレベルの。鈍器本当に鈍器。情緒をぐちゃぐちゃにしてくる1作でした。わたしはこれまで「次元の壁が消えた」とか「○○は実在する」文化圏の人は凪良ゆうの神様のビオトープを読んでくれって言ってるんですが、シャニライとかあんスタとかA3とかやってる人は読んでほしい作品になってしまいましたよ。

本作は同人誌で本屋では買えないので、以下の栗原ちひろさんのboothでお買い上げください。
なお5/25現在初版完売で重版入荷待ちです。入荷お知らせメールとか登録してお待ちください。1500円ぐらいするし電子書籍なぞ存在しないんですが、ある一定の読書歴をもつ人間にとっては致死率のバフがかかる1冊です。

通販受付:栗原移動遊園売店 – BOOTH

元々私案件すぎる同人誌でしたが、とんでもないものが世に出ようとしています。

今号のテーマ:戦争
表紙に梶原にきさん、執筆者に須賀しのぶさん
コバルトで陸軍海軍空軍を制覇した、謎の変異ウィルスと異なる進化を遂げた元人間との戦争も描いた須賀しのぶさんの少女小説枠での戦争である。戦争といっても色々あるけど戦争なのだ。
なんかよくわからないがとりあえずわかることとしてはすごいものがうまれるぞ!!????
友達は「津原やすみが津原やすみだよ(津原泰水じゃないよ)」とぶちあがっていました。
わたしと同世代の人は床を転がるラインナップですよね……。

知らない人のために簡単に「少女文学」という同人誌を説明すると「プロが書いた少女小説の同人誌」です。紙質とか手触りが在りし日の雑誌コバルトとかThe beansが近くてとにかく雑誌です。
イベントだったり通販だったりで売られています。
今30歳以上で「10代の時はコバルト文庫とかビーンズ文庫とかよく読んでました」っていう人は多分懐かしくて死ねます。(今20代で10代時点の読書事情はよく知らないのでそこは言及避けます)

商業では今時ちょっと読めないような小説も読めるので、面白い小説が読みたい、という人は手に取ってほしい1冊です。

紅玉いづきさんのnoteで各扉絵と小説本文の一部が読めます。
企画合同誌『少女文学 第四号』刊行|紅玉いづき|note
注文は栗原ちひろのboothにて予約受付中です。
少女文学 第四号 – 栗原移動遊園売店 – BOOTH

boothの癖について
・ログインした状態でカートに入れて進んでいるとパスワード入力を求められて正しいパスワードを入れていても、「認証できません!」って先に進めないことがあります。
その時は1回ログアウトして、ログインしてください。カートには入ったままなので再度追加は不要です。
・印刷が仕上がってbooth倉庫に辿り着いて、入庫作業~通販OKとなるまでに1カ月近くかかるので気長に待てることが必要です。
・予約段階では発送手段は宅配便(送料730円)しか選べません。
・送料はできるだけ安くしたい人は通販開始後に注文しましょう。ゆうパケットで400円です。
・入荷状況は栗原ちひろさんのtwitterでお知らせされます。

わたしはもうポチりました。到着を正座待機します。

再びの緊急事態宣言の春がやってきてしまった。

別冊文芸春秋2021年5月号

[amazon asin=”B08YRM8B17″ kw=”別冊文藝春秋 電子版37号 (2021年5月号) (文春e-book)”]

突然の雑誌(しかも電子書籍限定)だけど、今が波に乗る上でベストタイミングなので。
2021年5月号からはじまった連載のうち2つご紹介します。
ひとつは有栖川有栖「捜査線上の夕映え」
もうひとつは一穂ミチ「光のところにいてね」

まず「捜査線上の夕映え」から。
こちらは火村英生シリーズ最新長編作品。「連載開始にあたっての前書き」を読んでいたらシリーズ最初の作品「46番目の密室」が世に出たのは今から29年前、1992年のこと。
途中まで加齢し、今は34歳のままの火村さんとアリスは今作で2020年9月を生きる。
新型コロナウィルスの第2波が過ぎかけた、まだそれなりに平和だった頃の大阪と京都が舞台だ。
アリスはマスクをしてちょっとした旅もしくはただの電車での移動をし、火村さんはオンライン講義をする。
この連載が終了し新刊として発売される頃には「そういえばこんなこともあったね」と言える世の中になっていてほしいコロナ禍のミステリ。

そして「光のところにいてね」
この後とりあげる「スモールワールズ」が発売されたばかりの一穂ミチの一般向け(多分)新作長編。今後は成長するだろう、第1章では小学生の結珠(ゆず)と果遠(かのん)、2人の物語だ。

小2にして習い事だらけの生活を送っている結珠は、ある日母に連れられてとある団地へ行った。母は病院や施設でボランティアをしており今回もそれだというが、結珠が見たものはぼさぼさ頭で無精ひげを生やした男性と、その男性の前では今まで見たことがないようなふるまいをする母だった。
母とともに団地へ行き「階下で30分待て誰とも話すな」というそれは習い事がない水曜ごとに繰り返され、結珠はこの団地に住む果遠と出会った。
果遠の母は食品添加物や電磁波や予防接種等をこの上なく憎悪し、オーガニックに傾倒した人物だ。その母の元、果遠は食べ物や着る物や髪型、ちょっとした生活用品に友人関係に至るまで大きく制限や影響を受けているが果遠は「お母さんのそういう所嫌いじゃないけど、結珠ちゃんの前でされたらちょっと嫌いになるかもしれない」という。スモールワールズとも共通するところだが、季節の移り変わりや時間の描写がとても素敵だ。

別冊文芸春秋は隔月刊(※ただし電子書籍限定。紙書籍もあるにはあるが著者関係者のみの非売品の模様)発売日の時点でkindle unlimited対象書籍となっている。

今回の夕映えは、『朱色の研究』や『幻坂』の夕焼けとは違うのだ――念願の火村シリーズ最新長篇に懸ける想い はじまりのことば | コラム・エッセイ – 本の話
試し読み:コロナ禍で捜査も進まず、音を上げた大阪府警は… 臨床犯罪学者・火村英生と盟友アリス、いよいよ始動! 電子版37号 | ちょい読み – 本の話
迷ってばかりの私がようやく見つけた萌芽… ふたりの少女と共に私はこの物語を紡いでいく はじまりのことば | コラム・エッセイ – 本の話
うらぶれた団地で出会った結珠と果遠。惹かれ合う少女を通して描く家族、そして愛の物語 電子版37号 | ちょい読み – 本の話

スモールワールズ 一穂ミチ

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発売前からものすごい勢いで推されていて、丁寧な公式サイトはあるわ声優櫻井孝宏氏による掌編の朗読(19分)もあるし書店員さんのポップはすごいし既にコミカライズがアフタヌーンで走っている。

コミカライズについてはスモールワール公式サイト │ 講談社で一部公開されているので見てほしい。

で、本の内容に戻る。短編集だけどいい意味で何を読んでいるのか分からない。アンソロジーを読んでいるかのように内容も文体も様々なのだ。「家族」という共通点があるが、ミステリ(ちなみに収録作品の「ピクニック」は日本推理作家協会賞短編部門にノミネートされていた)もあるし、書簡体小説もあるし、コミカライズがすごく映えるようなコメディに寄った作品もあるしうらぶれた教師と離婚した妻が引き取った娘(心の性別では息子)の話もある。家族という小さな世界の物語がどれも驚きの展開へ連れていく。
「泣ける物語」ではない(泣く人はいると思う)、ほっこりする物語でもない、でも絶望の物語でもメリバでもないのだ。「分かりやすい」「ちょっといい話」のだけど、傑作がこんなにも1冊に集っていることがあるかーーーと叫びたくなる物語だ。

電子書籍:○

今(2021/4/25)やってるDMMブックスのポイント50%バックキャンペーンで一穂ミチ作品BLを含めて多くが対象になっている のでこれを機にいかがですか……。
非BL作品は「スモールワールズ」と「きょうの日はさようなら」の2冊のみ。
BL作品のオススメは「イエスかノーか半分か」(シリーズ作品の1冊目)と「ぼくのスター」(これは単刊)

となりの魔王 雪乃下 ナチ

[amazon asin=”4047304883″ kw=”となりの魔王 到来編 (ビーズログ文庫アリス)”]

緊急事態宣言でくさくさしている人もいるかと思うので、コメディに全振りの作品を引っ張り出した。
地方の町が舞台で現代だけどファンタジー。どのぐらい地方かというと「町内会」「回覧板」が生きている、「24時間営業のコンビニができたら町が沸き立つ」田舎町だ。そんな町に一人の少女には激震が走り、それ以外の住民には「コンビニができた以下」の事件が起きた。
瀬野夏織の隣に魔王が引っ越してきた。魔王だ。マッチョすぎるから魔王とあだ名がついたのではない。角が生えていて真っ黒のマントをまとい肩にはカラスを乗せている。ちなみに空も飛べる。ご丁寧に引っ越しそばを持ってきたその魔王はこの町になじんだ。
夏織の家族からして「そりゃ角ぐらい生えてるわよ魔王だもん」「ここらあたりじゃ魔王が引っ越してくるなんて珍しくもなんともないでしょ」という。
魔王が引っ越してきて、何をするわけでもなく、何日か何十年か普通に暮らして戻っていく。ここはそういう土地らしい。

そういうただの日常系コメディだ。勇者は出てくるけど魔王と夏織の間にラブが生まれない。
本作は2015年にビーズログ文庫アリスから刊行されたもので、元は個人サイトで連載されていたオンライン小説。小説家になろうにも掲載されておりこちらには書籍版には収録されていないものも載っている模様。

となりの魔王(小説家になろう)

暁天の星 鬼籍通覧/椹野道流

[amazon asin=”B07X9LVGR5″ kw=”新装版 暁天の星 鬼籍通覧 (講談社文庫)”]

最近ようやく「いつか見る」リストにあったドラマのアンナチュラルを見た。見たと言っても今まだ完走はしてなくてあと2話残している状態。UDIラボという架空の研究機関で不自然な死を遂げたご遺体の解剖・死因の究明を進め、死の裏に隠された謎だったり事件だったりを解明していく物語だ。
でこれを見るにあたって思い出したのが鬼籍通覧だ。こちらは大阪府にあるO医科大学法医学教室に配属された新人伊月崇が先輩の伏野ミチルにしごかれ、ご遺体を解剖する。
ある日やってきたご遺体は線路に飛び込んだ若い女性に車に飛び込んだ若い女性。謎の共通点とは。

アンナチュラルに比べると欠損部位が多いご遺体が多いので、文字から状態を想像してしまうとうわぁ……となってしまう人もいるだろう内容でホラー要素を含むのでそういう意味ではちょっと読む人を選ぶ本ではあるんだけど、間に「飯食う人々」というインターミッション的ななごむシーンも挟まれている。

Twitterでざわざわ本を買い込んでいる人が近くにいませんか。
DMMブックス初回利用者限定70%オフクーポン(上限100冊)という、カートにいくら本を放り込んでも支払額が異常に安いキャンペーンが始まっています。本来は5月ごろまではやっているはずでしたが、反響がすごすぎて4月12日(月)11:59で終了になりました。
少女向けライトノベル・ライト文芸もすごく品揃えがいいので「全人類これを買ってくれ」特集をします。
:注意事項:
DMMで1冊でも買ったことがある人は本キャンペーン対象外です
ここで買った電子書籍はkindleでは読めません(別途電子書籍リーダーが必要です)
書影が欲しいのでAmazonアフィリエイトリンクも併記します。DMMブックスへのリンクはその上にあるテキストリンクから飛んでください。

レーベル単位での検索結果も置いとくので買う買わないは別にしてテンション上がるので見てください。特にコバルト。一定年齢以上の人がコバルトを見ると転がること間違いなしですわ。

コバルト文庫の検索結果 – DMMブックス(旧電子書籍)
ビーンズ文庫の検索結果 – DMMブックス(旧電子書籍)
ビーズログ文庫の検索結果 – DMMブックス(旧電子書籍)
一迅社文庫アイリスの検索結果 – DMMブックス(旧電子書籍)
富士見L文庫の検索結果 – DMMブックス(旧電子書籍)
オレンジ文庫の検索結果 – DMMブックス(旧電子書籍)
ウィングス・ノヴェルの検索結果 – DMMブックス(旧電子書籍)

金星特急 (1) – 文芸・ラノベ

[amazon asin=”B07M88118G” kw=”金星特急(1) (ウィングス・ノヴェル)”]

そんなわけで「全世界金星特急を読んでくれ」案件です。冒険ものが好きなら損はさせないので……。内容についてははと文庫オンラインvol.3 | はと文庫オンラインをご一読ください。

異人街シネマの料理人 (1) – 文芸・ラノベ
[amazon asin=”B01NAHYXAG” kw=”異人街シネマの料理人(1) (ウィングス・ノヴェル)”]これは嬉野君で検索してカートに入れたもの。ウィングス文庫は(これはウィングス文庫じゃないけど)「ウィングス文庫」「ウィングス」では検索されず、「ウィングス・ノヴェル」でようやくレーベル単位でひっかかるのでご注意ください。

有閑貴族エリオットの幽雅な事件簿 – 文芸・ラノベ

[amazon asin=”B087G6KMGD” kw=”有閑貴族エリオットの幽雅な事件簿 (集英社オレンジ文庫)”]

エリオットはいいぞ。幽霊男爵と社交界で名を流すエリオットと従者コニーが心霊案件ですったもんだします。
はと文庫オンラインvol.1 | はと文庫オンライン

ベアトリス、お前は廃墟の鍵を持つ王女 – 文芸・ラノベ
[amazon asin=”B08GK65T75″ kw=”ベアトリス、お前は廃墟の鍵を持つ王女 廃墟シリーズ (集英社オレンジ文庫)”]

大人だって読みたい!少女小説ガイド 単行本を読んで購入を決めた本です。
電子書籍オリジナル作品だった頃とオレンジ文庫で刊行されたものの電子書籍と2種類あるのでお間違えなきよう……。

宝石商リチャード氏の謎鑑定 – 文芸・ラノベ
[amazon asin=”B01BOF7LVA” kw=”宝石商リチャード氏の謎鑑定 (集英社オレンジ文庫)”]

去年第2部完結した宝石商リチャードです。
美貌の宝石商リチャードと他意なくリチャードを褒め称える正義と、宝石店に持ち込まれるライトミステリ作品。

マルタ・サギーは探偵ですか? – 文芸・ラノベ
マルタ・サギーは探偵ですか? I レド・ビァ事件(富士見L文庫) – 文芸・ラノベ
[amazon asin=”B009KZBLIG” kw=”マルタ・サギーは探偵ですか? (富士見ファンタジア文庫)”][amazon asin=”B00PIRFLIQ” kw=”マルタ・サギーは探偵ですか? I ~レド・ビァ事件~(富士見L文庫) マルタ・サギーは探偵ですか?(富士見L文庫)”]

これは探偵と銘打たれているけどそこまでミステリした話じゃなくて異世界に送られた鷺井丸太がイギリス風の国、オスタスで強く暮らしていく物語です。
富士見ミステリー文庫版と富士見L文庫版があって、完結したものが読みたい人はミステリー文庫を読んでください。富士見L文庫はミステリー文庫を大幅に加筆修正したものですが、こっちは未完です。レド・ビァ事件はL文庫版じゃないと読めないので、ミステリー文庫読んで面白かったらL文庫の方で1冊2冊読んでみてね……。

パラダイスレジデンス (1) – 文芸・ラノベ
[amazon asin=”B00A766JA2″ kw=”パラダイスレジデンス1 (講談社ラノベ文庫)”]

これは少年向けライトノベルレーベルで出版されてたものなんだけど紹介させてほしい。
少女向けで姫嫁巫女一辺倒になる前、「丘の家のミッキー」「さよなら月の船」のような、「何の事件も起こらない、少女の生活がつづられた物語」です。マンガのノベライズなんですが、きょうびこんな小説少女向けじゃ読めねえありがてえと思いながら読んだ1冊です。
ちなみに1巻は今(2021/4/10)kindle unlimited対象作品です。

民俗学研究室の愁いある調査 その男、怪異喰らいにつき – 文芸・ラノベ

[amazon asin=”B07V312C8B” kw=”民俗学研究室の愁いある調査 その男、怪異喰らいにつき (富士見L文庫)”]

これは民俗学です。フィールドワーク中に呪われた大学生名鳥の状態を鑑みて紹介された「怪異喰らい」朽木田の物語です。

女装王子の深遠にして優雅なたくらみ – 文芸・ラノベ
[amazon asin=”B00RYOK4Z6″ kw=”女装王子の深遠にして優雅なたくらみ (富士見L文庫)”]

富士見ファンタジア大賞銀賞作品。王女として育てられた王子(愛しい系あほのこ)が恋に落ちる話です。女装男子っていう素材が好きな人に。

ある小説家をめぐる一冊 – 文芸・ラノベ

[amazon asin=”B01MTYNXT4″ kw=”ある小説家をめぐる一冊 (富士見L文庫)”]

お世話する編集者とお世話される小説家。これはいい幻想小説なんですよ。

ちょー美女と野獣 – TL漫画

[amazon asin=”B06XG85QP9″ kw=”ちょー美女と野獣 ちょーシリーズ (集英社コバルト文庫)”]

獣になる呪いをかけられた王子と獣を愛する美姫が呪いをとくために北の国を目指します。これはわたしの人生を語る上では欠かせないシリーズなので入れます……。

炎の蜃気楼 – TL漫画

[amazon asin=”B00IOATTEQ” kw=”炎の蜃気楼 (集英社コバルト文庫)”]

わたしは炎の蜃気楼は通ってないんだけど、完結した後も一気読みして落ちていく人が後をたたなかったな……。

ハイスクール・オーラバスター 天使はうまく踊れない – TL漫画
オーラバスター・インテグラル ファウスト解体 – 文芸・ラノベ
オーラバスター・インテグラル – 女性コミック(漫画)
ハイスクール・オーラバスター・リファインド 天の聖痕 the rebellion – 文芸・ラノベ

[amazon asin=”B079DPW4J1″ kw=”ハイスクール・オーラバスター 天使はうまく踊れない (集英社コバルト文庫)”][amazon asin=”B014D0DZ9U” kw=”オーラバスター・インテグラル ファウスト解体 オーラバスター・インテグラル (トクマ・ノベルズ)”][amazon asin=”B013DZ3SDO” kw=”ハイスクール・オーラバスター・リファインド 天の聖痕 the rebellion (トクマ・ノベルズ)”]

天翔けるバカ flying fools
[amazon asin=”B074PR98XV” kw=”天翔けるバカ flying fools (集英社コバルト文庫)”]

テンションあがったね。第一次世界大戦中のヨーロッパで飛行機乗りの物語です。
紅の豚が好きな人は等しく読んでほしい。

振り返れば先生がいる – TL漫画

[amazon asin=”B07QK7JP96″ kw=”振り返れば先生がいる (集英社コバルト文庫)”]

それ! それあるの!!!???? っていう1冊。これはあらすじが全部説明してるのでそれを貼ります。

ある日突然ママが死に、十六歳なのに喪主にされ、チチオヤに引き取られて名字が変わり、おまけにカレシは世界放浪中。高二になったばかりの鈴木真奈子(旧姓羊野)にとっては踏んだり蹴ったりの春なのに、そのうえ、よりによって、とんでもない疫病神(せんせい)が現れた! 素行調査に愛人疑惑、おまけに抜き打ちの小テストetc.etc. 担任で×××な「ヤツ」と過ごす高校生活の明日はどっちだ

フラクタル・チャイルド ここは天秤の国 – TL漫画

[amazon asin=”B07FDWYVWX” kw=”フラクタル・チャイルド ストロボの赤 (集英社コバルト文庫)”]

わたしと同じぐらいの年齢でコバルト読者の人はご存知でしょう。
あと1冊で完結だったのに何で打ち切りに!?????? っていう1冊。今でも続きが読みたい。
サイバーパンクで謎のクリーチャー、疑似家族、遺跡っていう私が好きなものが盛り込まれた物語だった。
竹岡さん、コバルトではこのあと1つ2つシリーズがあって、少女向けからは手を引いてしまった。ファミ通文庫→富士見ファンタジア文庫ときて、おいしいベランダでとても売れて、デビュー作から読んできたファンとしては書き続けてくれてありがとうございますと拝んだ。

となりの魔王 到来編 – 文芸・ラノベ

[amazon asin=”B00XKW68BU” kw=”となりの魔王 到来編 (ビーズログ文庫アリス)”]

これは確かオンライン小説からの書籍化でなろうじゃなくて個人サイトからの書籍化。
チャイムが鳴ったから出てみたら魔王(禍々しいベール、肩にカラス、頭に角)がいて「隣に引っ越してきた今後ともよろしく」と明らかに怪しいのになぜか「魔王ぐらい別に珍しくもなんともないでしょ」と受け入れられてる魔王と「いや魔王そんな普通の存在!?」っていってる女子の話。例えるなら破壊神マグちゃんみたいなやつ。

ワルプルギスの夜、黒猫とダンスを。 – 文芸・ラノベ

[amazon asin=”B0732QYZ8N” kw=”ワルプルギスの夜、黒猫とダンスを。 (一迅社文庫アイリス)”]

買ったばかりの赤い靴を買ったら魔女と体が変わってしまった14歳のルナは何もわからないうちに魔女のの森に放り出された。猫耳男子とダンディなネズミが出ます。

エージェント・コード 恋の陰謀は執筆のあとで – 文芸・ラノベ

[amazon asin=”B00AQWCVZO” kw=”エージェント・コード~恋の陰謀は執筆のあとで~ (一迅社文庫アイリス)”]

冒険活劇萌えの人に。ちょっと昔のイギリスっぽい国で売れっ子作家×スパイの卵の物語です。

【合本版】デ・コスタ家の優雅な獣 全5巻 – 文芸・ラノベ

[amazon asin=”B074Z15HGV” kw=”【合本版】デ・コスタ家の優雅な獣 全5巻 (角川ビーンズ文庫)”]

パーツだけ見れば逆ハーレムなんだけどそんな単語が全く似合わない話で。
内気で臆病な少女が生まれながらにもった異能のためマフィアの引き取られ、道具として血をつなぐだけの人生を送らないために悪女として成長していく物語

【合本版】オペラ・シリーズ全8巻 – 文芸・ラノベ

[amazon asin=”B074FJY456″ kw=”【合本版】オペラ・シリーズ全8巻 (角川ビーンズ文庫)”]

オペラはいいぞ
神様と神話が生活に根付いているファンタジーで、凄腕の薬師兼剣士(ただし病弱)とのらくらかわしていく美貌の詩人、暗殺稼業に手を染めていた少女。


首の姫と首なし騎士 – 文芸・ラノベ

[amazon asin=”B009GPMHK6″ kw=”首の姫と首なし騎士 (角川ビーンズ文庫)”]

これは未完です。でも面白いんで!
建国2代目の若い国で、末娘シャーロットが主人公。ローテンションで「素直・健気・天然」のどれもあてはまらない、ただし内気かというそうでもない。脳内ではだだもれの長口上の多弁な少女、それに仕えるアルベルトは残虐・横暴・奔放の3拍子揃った狂犬。

ちなみにわたしが買った本はこちらになります。
DMMブックス「初回購入限定最大100冊70%オフクーポンプレゼントキャンペーン」でこれ買いました colorful

桜の季節がやってきました。地元でもようやく桜の開花が宣言され、福島県では聖火リレーが始まりスウェーデンでは世界フィギュア選手権が始まり今2020年じわじわ再起動してるなと思います。なんとか収束してほしい。

表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬 若林正恭

[amazon asin=”4167915820″ kw=”表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬 (文春文庫 わ 25-1)”]

自由に旅行ができなくなってから1年以上経ち、いつになれば旅行に行けるかもまだちょっとよくわからない。そんなわけで旅行エッセイを読む。これはオードリーのツッコミのほう、以前小説家と鼎談番組「ご本、出しときますね?」のMCをやっていた若林正恭氏だ。
氏は2013年のころ家庭教師を雇っていたそうだ。アラフォーだというのにニュースを見てもさっぱり理解できない。これは恥ずかしいのでは、と思いたち友人に紹介された。
そして自分の悩みの根源とは別のシステムで動いている社会主義国家キューバへの旅行を決めた。2016年6月のことだ。

本越しではあるがキューバの人がどのように暮らしているのか垣間見える。
配給所があり飢える心配はない、でも最近それでは足りずスーパーでも買っていること。
国営企業のためスーパーで売ってる調味料はどれも2種類程度であること。
職業訓練がしっかりしており、ウェイターからスポーツ選手までなりたい業務の専門学校を卒業する。でもコメディアンになりたい人間が学校を出た後バイトで食いつなぎながらデビューを狙うということはあまりないこと。
就職は義務ではないが「アルバイト」という概念があまりないこと。
海がきれいなこと。
亡命は禁止されているが、身内に亡命者がいると生活が裕福になる矛盾があること(キューバから発送は制限があるが、キューバへ発送・送金は制限がなくスマートフォンも送ることができる)
異国の空気を感じることができる。それ以外に収録されているのはモンゴル・アイスランド。コロナ後の東京。

電子書籍:○

小説という毒を浴びる 桜庭一樹書評集 桜庭一樹

[amazon asin=”4087711676″ kw=”小説という毒を浴びる 桜庭一樹書評集”]

東京創元社のWEBサイトで掲載されていた桜庭一樹読書日記がとても好きだった。書籍化されているものは各オンライン書店では注文できないか中古のみのよう。書店ではまだ並んでいるところもあるだろうか。この本はそれらを楽しみに待っていたころを思い出す本だ。
帯には約15年分の書評ということで、収録期間は2005年~2018年。最も多いのはリレー読書日記やあちこちで書評を書かれていた2006年~2009年の間で、書評以外では道尾秀介氏・冲方丁氏・綿矢りさ氏・辻村深月氏との対談も収録されている。
解説も収録されているが、その昔この解説を読みたいがために本を買っていたことも思い出されて懐かしい。桜庭さんが本の話をしているのが好きな人はぜひともオススメの1冊。

映画レビューと火の鳥の連載をやっていたことは知っているが最近は何か刊行予定あるんだろうかと検索してみたらコロナ禍の東京の日記が出るようだ。

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推し、燃ゆ 宇佐見りん

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第164回芥川龍之介賞受賞作。
直木賞ならともかく純文学対象の芥川賞受賞作を読もうとは普段あまり思わないが、本作は「アイドルを推す」ことを生活の中心に置いている女子高生の物語と聞いて俄然興味を持った。
いかにも大衆、という感じのそういうものが純文学で題材として扱われるのか、と思っていたら「芥川賞は時代を映す鏡」という話を目にし、ジャニーズのアイドルやNiziUやowvのようなアイドル、それに「推し」「推す」と言われる対象が人にとどまらず食べ物や企業にまで及んでいる現在ならそれもそうかと思った。

物語は「推しが燃えた。ファンを殴ったらしい。」の一文で始まる。
虫の知らせか早朝に目が覚めたあかりはざわつくSNSで推しが起こした事件を知る。

推し:男女混合アイドルグループ所属上野真幸
推す:女子高生あかり。ファンのスタンスとしては現場には行く、でも特定はされたくない。有象無象の拍手や歓声のひとつでいたい。推しの見る世界を見たい。
あかりは推しのためならバイトも頑張る。推しの情報を集めてルーズリーフにまとめて咀嚼して自分の解釈をブログに書き連ねる。その経過であかりのブログは人目を集め同じグループ推しの友達ができた。推しに対する解像度を高め、その強固さは推しと同じグループのメンバーも舌を巻くほどだった。
しかし「推しがファンを殴って炎上」のニュースはどう解釈すればいいか分からない。自分の解釈では推しは穏やかな人間ではないが、人を殴るような人間ではない。怒ればいいのか、庇えばいいのか、SNSで目にする感情的なファンを眺めて嘆けばいいのか分からない。でも今後も変わらず推すことだけは決めていた。

あかりの生活はすべて推しを中心に回っていた。世界の人々が難なくこなせる生活も人生の彩りも自分はままならない。しわ寄せに苦しみながらも生活のすべてが推しに集約されていく。淡々とした語り口とは対称的に「オタクのすなるSNSでのふるまい」の描写は濃厚だ。どこかでアイドルが、若手俳優が炎上するとみられがちな光景が再現されている。

次元を問わず人物を推してファン活動をしたことがある人なら理解できすぎてしまう物語だと思う。

電子書籍:○

腐男子先生!!!! 瀧ことは

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「推し、燃ゆ」は重いので、「重い」方向性が違う「推しとオタク」の物語も紹介する。

女子高生の早乙女朱葉は漫画を描いて本を作って同人誌即売会イベントへサークル参加する腐女子だった。ある日のイベントでノベルティを渡し損ねた男性を追いかけ、彼が自分の学校の先生であることに気がついてしまった。
これは女子高生(腐女子)と教え子を神だ推しだと崇める先生(腐男子)のラブコメです。
その時に流行ったオタクコンテンツの話題がそれとなく振りまかれているのでネタ元を頭の中で転がしながら読むのもよし(分からなくても面白さは減りません)コミカライズから入るのもよし、元が小説家になろう掲載作品のため隙間時間に読むのもよいでしょう。

書籍版完結済全3巻

電子書籍:○
小説家になろう:腐男子先生!!!!!(書籍版未収録作品あり)
コミカライズ:腐男子先生!!!!! – pixivコミック

死んでも推します!!~人生二度目の公爵令嬢、今度は男装騎士になって最推し婚約者をお救いします~ 栗原ちひろ

「推し、燃ゆ」とは違う方向の「推しを推す」物語のご紹介です。これはこれから書籍化されるオンライン小説作品で、異世界ファンタジーでコメディ要素が大分強いラブコメです。

公爵令嬢セレーナの推しは自分の婚約者だ。はじめて出会ったのは10歳の時に見せられた肖像画だった。見た瞬間天使がラッパを吹いて祝福した。私は「萌え」という概念を取得した。16歳の結婚が近いある日、婚約者ともども炎に巻かれそこで意識は途絶えた。次に意識がはっきりした時、自分は生まれて1年未満の赤子に戻っていた。
どうして自分がまた2度目の生を受けているのかは分からない。だけど今度こそは「推し」を死なせない、婚約者でなくて構わない彼の身を守れるなら。
そうしてセレーナは男装を身にまとい「推し」フィニスの剣になることを決めた。

こちらも小説家になろう掲載作品で、書籍化とコミカライズが決まっています(※発売日未定) 講談社Kラノベブックスfで刊行予定。

略称「でも推し」は去年6月から9月中旬にかけてほぼ毎日連載されていた全100話の物語です。毎朝ひと笑いしてから仕事についていました。書籍版は現在リライト中とのことで、手元に届けられる日を楽しみに待ちたいと思います。

小説家になろう:【書籍化】死んでも推します!!~人生二度目の公爵令嬢、今度は男装騎士になって最推し婚約者をお救いします~

広大な領地をもつルトヴィア帝国。猟師の娘として暮らす少女・カリエは、突如謎の男に攫われ、皇位継承者候補である王子の身代わりとして宮殿に入ることに――。カリエを待ち受ける激動の運命の行く末は? 
須賀しのぶが書く『流血女神伝』シリーズは、コバルト文庫史上に輝く、伝説の大河ファンタジーです。
このたび、シリーズ第1作となる『流血女神伝 帝国の娘』の初コミカライズが決定。(作画:窪中章乃 キャラクター原案:船戸明里)小学館の漫画サイト『サンデーうぇぶり』で4月5日から、雑誌『サンデーGX』で5月号(4月19日発売)から連載されます。
WebマガジンCobaltでは、『流血女神伝 帝国の娘』のコミカライズを記念して、原作小説のプレイバック連載を4月2日(金)から実施する予定です。どうぞお楽しみに!

3/19現在次号予告 | サンデーGENE-X|小学館でカリエの顔が見られますが、原作カリエと比べれば幾分可愛い系の顔をしているなと思いました。
流血女神伝は角川文庫では「帝国の娘」のみ上下巻で発売されていますが、原初のコバルト文庫では「帝国の娘」以降も話が続いています。全25巻です。カリエはジェットコースターに乗せられたがごとく数奇な運命をたどります。大変おすすめです。
古い作品なので古本と図書館以外で手に入れるのはちょっと難しいかも知れませんが、電子書籍化もされています。

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とりあえず目標の第3回に辿り着きましたわ。いやでも冊数少なくても週に1回更新の方がいいのかとか色々と考え中です。どう思います? こうあれこれ悩むのは開設したての方向が定まってない時のお楽しみのような気します。というのもあれなんですよ。先日2月22日に個人サイトcolorfulが開設20周年を迎えました。私自身がまだ振袖を着られる身の上なんですけど、実質我が子のようなものです。

ゴールデンタイムの消費期限 斜線堂有紀

書けなくなった「元天才作家」高校生の綴喜文影に元に届いたのは「レミントンプロジェクト」への招待状だ。紹介してくれた編集小柴によればこれに参加すればまた書けるようになるということだった。
ヘリコプターに乗せられ辿りついたのは山中にある施設だ。個人のスマートフォンは持ち込めないようになっており、11日間をともに過ごす5人と引き合わされた。料理人、バイオリニスト、映画監督、日本画家、棋士。綴喜も含めた6人に共通するのは「今は見る影もないがかつて天才と称された人間」だ。

レミントンプロジェクトとは人工知能「レミントン」とのやり取りでかつての天才に力を取り戻させるプロジェクトだった。
同世代で「かつて天才としてもてはやされたこともあった」という似たバックグラウンドや傷を持つ男女の交流と、AIの補助のもと自分と向き合う期間。このプロジェクトは閉ざされた密室で行われ、AIは6人の心を揺さぶり激しく取り乱させるが暴力沙汰や死者は出ない。綺麗な物語だ。
「AIが人間の仕事を奪う」「AIを利用することで広がる世界」など様々な可能性はきかれているが、作中のようなことは既に行われているのかもしれない。

電子書籍:○

金星特急 嬉野君

金星が花婿を探している。金星が選んだ男はこの世の栄華は思いのまま。花婿候補はどこからともなく現れた特急が金星の元へ運んでいく。そうして金星特急に乗り込んで無事に戻ってきた者は誰一人おらず、特急を追跡した者たちもすべて撃ち落とされた。
金星に一目ぼれした錆丸は入学したばかりの高校を中退し金星特急へ乗り込んだ。そこで出会ったのは腕は立つが不愛想で正体不明の砂鉄、大喰らいの美貌の騎士ユースタス。
金星特急が彼らを連れていくのはどこか、金星とは何者なのか。
世界を股にかけた冒険活劇金星特急。

さて約10年前に完結した本作をここで取り上げる理由はひとつ、来月3月10日、「続・金星特急 竜血の娘」が発売されるためです。

金星特急と地続きの物語であるためこれを読んでいるほうが圧倒的に解像度が高い。私は小説ウィングスで連載を追っているので内容を知っているので言いますが、本作においては「続編はコケる」「あれは越えられない」は全く適用外。
毎回金星特急らしい「頭をかち割られそうな驚き」と「冒険」と「世界を旅する空気」を楽しんでいます。今年一推しの一冊になるのは間違いない。できるだけネタバレを避けて既読者向けに叫びたいのですが、月氏が好きな人はこれを読んで面白かったら小説ウィングス本誌最新とひとつ前を買ってほしい。

電子書籍:○(※続・金星特急についても1カ月遅れで電書になる)

わたしの幸せな結婚 顎木 あくみ

斎森先妻の娘、斎森美代は継母・異母妹に虐げられて使用人同然に育った。母方の異能の血を受け継いで生まれたはずが見鬼の才を持たなかったことが大きい。
ある日、美代は久堂清霞の元に嫁ぐことになった。清霞は美しい容姿だが冷酷無慈悲、今まで何人もの女性が結婚を諦めて去っていったと美代の知るほどの噂の人物だ。それでも美代にはもう帰るところも行くところもない。実家は美代の唯一の味方幸次が異母妹と結婚して継ぐことになった。

王道のシンデレラストーリーでかつてコバルトを読んで育ってきた人間としてはかなり懐かしさを覚える作品。最初は人間不信全開の対応だった清霞と自責の念の塊の美代がじわじわと距離を縮めていく様がほほえましいです。

電子書籍:○

オタク女子が4人で暮らしてみたら 藤谷千明

エッセイ。
フリーライターという仕事上、30代後半とという年齢上付きまとう将来の不安。さらに階段から転げ落ちたり、パートナーと別れたり様々な不安が夜泣きという形で現れた。
不安解消案として考えた結果シェアハウスはありなのでは?? と考えた筆者藤谷さん、オタクルームシェアしない? とLINEで持ちかけ「面白いほうに5000点!」と話はとんとん拍子に進んでいく。すったもんだ―の後家を契約する時点で「10年来の友達の本名を知る」というのは実にオタクあるあるだと思った。

ルームシェアの体験談として非常に成功例だと思う。「気心の知れたフォロワーの近所に住んで推しの円盤を見たりマンガの貸し借りをしたり一緒にご飯を食べたりしたい」みたいなオタクグループホーム計画を夢見たことが一度や二度ある人は多いのではないか。
オタクはすぐガチャに例えるが、これは住居も友達も住人もガチャの引きが爆裂によかったと思う。なので汎用性があるハウツー本ではないしオタクグループホームにあこがれがありすぎる人は羨ましさで鬼になれそうな本だが良い読み物だ。
時期的にコロナ前~日本で感染者が増え始めたころのこと。

電子書籍:○(2/24現在電子書籍は400円弱で購入可能です)

仕事本

2020年4月、緊急事態宣言が出た東京在住の人たちはどのような風に仕事をしていたのか、という日記アンソロジー。有名な人も無名な人も。パン屋・タクシーの運転手・介護士・ホスト・漫画家・旅行会社の社員・専業主婦・CAなどなど77人が語る2020年4月。

コロナ初年の世界はどんな風だったのか、去年の春の首都圏はどんな風だったのか、という本です。
人の日記を読むのが好きな人に。

年末年始から都会ではさらに感染者急増、長らく感染者0が続いていたわが県でも年始から帰省土産コロナにはじまって随分感染者が増えに増えて「同僚の家族が濃厚接触者」ぐらいの身近さになりました。エヴァも公開延期になったし落ち着くまで引きこもって本を読んで配信ライブを見ようかという今日この頃です。田舎なので入院170人で病床使用率50%超えてしまう。
今年のやりたいこととしてグラフィックレコーディングとカリグラフィがあってここでやることにしました。
まあでかいポップですね!

それでもあなたは回すのか 紙木織々

[amazon asin=”4101802041″ kw=”それでも、あなたは回すのか (新潮文庫)”]

お仕事小説のいいところは「こういう感じなのかなー」って職業疑似体験できるところだ。本作はソシャゲをたしなんでいる人が読むと、いつもやってるソシャゲの運営会社の苦労が垣間見れる。

文学部卒の友利晴朝(「はるとも」なのであだ名はハト)は株式会社アローンズゲームスの内定をゲットした。ハトの所属は業界では花形だと呼ばれる「自社運営のソシャゲチーム」第1事業部の2チームの片割れ、「アローンズゲームスで最初に売れたソシャゲ、8年経った今は赤字を垂れ流すサービス終了待ったなし」の「タクティクスソウル」チーム。プロジェクト名から「タクト」と呼ばれる方だ。

ソシャゲをやっていると深夜帯から緊急メンテナンスがはじまることもあり、中の人の心配をしてしまうが、ハトの会社はかなりホワイト企業だ。ハトはプランナーとして入社して教育係の安村さんから、不安点を聴取したうえで「いずれはユーザーサポートもやってほしい。そのためにはまずユーザーと同じ目線に立つ必要があります。あなたの仕事はまずタクティクスソウルをプレイすることです。具体的にはこれを達成してください」とリストが渡される。残業しようとするそぶりを見せようものなら「今はそんな急ぎの仕事を任せていません。残業は翌日の仕事に支障を与えます。何か理由があるなら傾聴しますが?」と定時退社を求める。トラブル対応時など、何事も例外があるのだが。

私のソシャゲ経験は片手で足りる程度の経験値だけど、それでもサ終(サービス終了)はいくつか経験している。サ終前の運営はこんな感じなんかなーと思って読んでいたら作者の方もハトと同じ「ソシャゲ開発会社のプランナー」であることを知った。となると作中のあのインシデントのあれは実体験もしくは本当にあった怖い話の可能性が? と思うと頭が下がる。雑談って重要だなと思う一作。

電子書籍:○

忘れじのK 半吸血鬼は闇を食む 辻村七子

[amazon asin=”4086803542″ kw=”忘れじのK 半吸血鬼は闇を食む (集英社オレンジ文庫)”]

ガブリエーレは20年ぶりにイタリア・フィレンツェに降り立った。ガブリエーレは幼いころから「黒いもや」が見えていた。他の人間には見えないと言われていたが唯一パオロだけは自分にも同じものが見えていると、お前は1人ではないと肯定してくれた。そんなパオロが病院の裏手で倒れており今も意識不明の状態だ。ガブリエーレはパオロが話してくれた「これは秘密だけど自分は神様の手助けをしているんだよ」と言っていたことからパオロの裏稼業に辿り着き、自らを「かっぱ」と名乗る半吸血鬼とともに事態の解決に乗り出す。
宝石商リチャードが好きな人にはちょっと読みづらいかもしれず、デビュー作螺旋時空のラビリンスが好きな人は好きかもしれない。

電子書籍:○

ぼくが13人の人生を生きるには身体がたりない。haru

[amazon asin=”4309249639″ kw=”ぼくが13人の人生を生きるには身体がたりない。: 解離性同一性障害の非日常な日常”]

これは「解離性同一障害」いわゆる多重人格について扱った本だけど、医学書ではない。創作でもない。これは現実に存在した、その疾患を抱えた当事者による本だ。

「疾患の治療法」「付き合い方」などは書かれてない代わりに大変読みやすく気軽に読める。
haruさんには12人の別人格があった。この本は別人格のすべてについて紹介されているが、本文中で語り部として登場するのは主に3人の人格だ。主人格のharuさんはあとがきに登場する。どういう風にして人格が生まれ、1日の動きがどうなっていて、診断名がつけられるまでにはどんな道のりがあったのか。そういうことが語られている。
あくまでもこれは症例のうちのひとつである。解説の精神科医岡野医師も書かれているが、発症の原因として語られがちな虐待の話は登場しない。破壊的で黒幕的な人格も存在しない。幸福な事例だったのだろうと思う。
haruさんは「直接会える解離性同一性障害の人」として活動されていたが、去年この世を去った。技術を悪用されtwitterアカウントは凍結されごく一部の文章がnoteなどに残されているのみだ。
この本を紹介したのはこういう人と交代人格たちが存在したこと、「人間には等しく24時間が与えられている」が当てはまらない人たちが存在することを誰かに伝えたいためだ。

20210315追記:haruさんは生きていた。なりすましではなく本人である。つい先日オンラインでの活動を再開された。当時「haruくんは遠い所へ行きました。ありがとうございました」とお友達からのツイート及び画像、予約投稿されていたと思われる遺書めいたエントリが上がっていた。しかし「遠いところ」には行っていたのは事実のようで、前と同じではない様子。

電子書籍:○

ダンシングプリズナー 遊木ユウ

[amazon asin=”4086803585″ kw=”ダンシング・プリズナー (集英社オレンジ文庫)”]

2020年度ノベル大賞準大賞受賞作品。ざっくりいうと「特殊設定の全寮制男子校ジュブナイル」。
どんな風に特殊設定かというと舞台は少年院で、でも普通の少年院と違って「演劇を通じて自律と協同を促す」月1ペースで舞台をやっている少年院だ。
舞台に向けての準備は毎日あり、直前になるとそれにかかりっきりになり公演に関することであれば院生はある程度自由に動くことが許され会話もOK、なんならトンカチのような武器になりそうなものの使用許可もある。すべては公演のため。本格的な舞台の上演は目標とせずあくまで過程が大事だとされ、「普通の演劇より感動できる」と一般人のリピーターもいる。

この少年院に入所してくるものは無作為に選ばれるため、年齢も犯罪歴もばらばらだ。
主人公は神連唯(かみつれ ゆい)14歳。3度の脱走を図り失敗して反省文を書かされているところから物語始まる。彼の罪名は殺人。ただし彼は無罪の罪でこの少年院へ送られてきた。
曼珠沙華煌(まんじゅしゃげ きらめき)という周囲の人間を惹きつけてやまない少年が入所してきたころから神連は徐々に変化していく。

神連が殺した相手とされている父親を殺した真犯人は、という話に流れていくけどその辺はハウダニット(どうやって殺したのか)に割かれていてこっちも「結果より過程が重要」って感じ。

オルタネート 加藤シゲアキ

[amazon asin=”4103537310″ kw=”オルタネート”]

2021年直木賞・本屋大賞ノミネート作。

オルタネートという「高校生限定個人認証済実名マッチングアプリ」が一般的な現代日本の、円明学園高校での群像劇。青春は大体キラキラしている。
私が高校生だった時というのはアプリどころかガラケーすら一般的な存在ではなく、ごく限られた人間だけがポケベルを持ち歩いているような時代だったけど、手段が違うだけで変わらないものもある。例えば文化祭とか部活とか。
本作は群像劇だ。料理の甲子園的な配信型コンテスト番組「ワンポーション」に出演したい調理部3年生の蓉(いるる)、オルタネートに詳しいガチ勢。でもアプリを通じて誰とも会ったことはなく、オルタネートが提案する「あなたと相性のいい人」90%以上の人が現れたら、その時初めて会おうとと思っている凪津(なづ)、高校を中退しオルタネートはもう使えなくなったが弟のアカウントを使って昔の友達を探し円明学園高校に忍び込んだ尚志(なおし)
この3人を中心に物語が動く。長編だけど視点移動に伴い細かく章分けされているのでちょっとずつ読み進めるのにも向いており、身近なテーマ(高校生の青春)なので本を読みなれない人にもおすすめ。

電子書籍:×(2021/1/25現在)

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