本日5/25はあの新刊が出ます。

恩田陸の「麦の海に沈む果実」からつながる理瀬シリーズ、17年ぶりの新刊「薔薇のなかの蛇」が発売されます!
電子書籍の配信日は本日、紙書籍版は26日プラスマイナス数日ありますが、ここ2年ばかしは妙に「10数年ぶりにあの続編が世に解き放たれる」系をよく見る気がします。喜ばしいことです。

コンビニ兄弟 町田そのこ

久しぶりに大きめの書店へ行き、棚を歩いていたらなんか目が合ったので購入した本。
おりしもその日は本屋大賞受賞作発表の日で、えっこの人の本今日買ったよ!? ってなったタイミングのいい1冊でした。

本屋大賞を受賞した「47ヘルツのクジラ」は長編で比較的重めの物語ですが、こっちは連作短編です。「47ヘルツのクジラ」よりは軽いけど、軽い要素ののれんをめくったら結構ヘビーですよねこれ。

九州ローカルコンビニ「テンダネス」門司港こがね村店は名物店長がいる。
夜の仕事をした方がよほど儲かるのではないかと思うほどのフェロモンをまき散らす志波三彦にはファンクラブがある。構成員は主にコンビニが入るビルの上層階の高齢者専用マンションだ。

ライト文芸あるあるの、コンビニに持ち込まれる謎のようなライトミステリではなく、飯テロ小説でもないし、ほっこり小説でもないと思う。
「フェロモン店長」を主人公に据えたコミックエッセイをPixiv的なところで連載しているパート店員の話もあるけど、「夢にどれぐらい向き合うか」とか、「幼馴染の支配やいじめ」とか、「友人の死を契機に随分身近に感じられる死と余生の過ごし方」とかそういう感じの物語だ。コンビニはあくまで舞台装置で、6編の人生の物語。

52ヘルツのクジラの弊感想こちら→52ヘルツのクジラ/町田そのこ – colorful

東京ディストピア日記 桜庭一樹

2020年1月~2021年1月のコロナ禍の日記。

コロナ禍の日記は以前にも紹介した仕事本があるんだけど、これはそれとは違う。桜庭さんの日記であると同時に、「東京都知事がヒカキンさんのyoutubeに出演してステイホームを呼びかけた」「阪神の藤浪選手が感染した」「キリストの墓があるとされる教会が671年ぶりに閉鎖された」とかコロナ関連でこの日にはこういうことがあった、と振り返りができる。
できるんだけど、ものすごく遠い昔のような気もするし、なんでこんなに事態が変わってないんだろうということもある。

個人的にいいなあと思ったのは「三浦春馬さんは極端な選択を行い、亡くなってしまったというニュースが流れていた」という、2文字のあれではなく「極端な選択」という表記になっていること。検索したところ韓国だとこういう表記らしい。ずっとトレンドに三浦春馬○○という表記に嫌気がさして現在地をアイスランドにしていたわたしのような人間に優しい表記だった。

同種の本では英国ロックダウン日記もおすすめだ。

少女文学第4号

びっくりするぐらい豪華な雑誌風アンソロジーです。

執筆者・掲載作(敬称略)
特集『少女×戦争』
須賀しのぶ「魔女の選択」扉・梶原にき
紅玉いづき「戦場にも朝がくる」扉・☆
小野上明夜「蛙になったお姫様」扉・ゆき哉
東堂杏子「あなたはだあれ」扉・狐面イエリ
市川珠輝「竜乗りエッダ―箒星が流れたら―」扉・すみす
神尾あるみ「夜に咲く花」扉・島田ハチ
栗原ちひろ「雛が墜ちる」扉・itsumonoKATZE
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津原やすみ(SNS:津原泰水)「恋するマスク警察」扉・鳴海ゆき
若木未生「クウとシオ」

今30代で10代時分はコバルト沢山読みましたっていう人と、課金額問わずソシャゲやってる人はちょっと読んでほしい作品があります。
あと小野上明夜さんの少女文学作品は「隔離」って感じのブラックなものが放り込まれがちなんですが、今回は割とホワイトでした。でもこれは商業じゃ無理だって作品です。

紅玉さんの「戦場にも朝がくる」、本当にひどくて(絶賛の褒め言葉)これ以上読むの無理だって半日ぐらい家事して夜にようやく読むのを再開したレベルの。鈍器本当に鈍器。情緒をぐちゃぐちゃにしてくる1作でした。わたしはこれまで「次元の壁が消えた」とか「○○は実在する」文化圏の人は凪良ゆうの神様のビオトープを読んでくれって言ってるんですが、シャニライとかあんスタとかA3とかやってる人は読んでほしい作品になってしまいましたよ。

本作は同人誌で本屋では買えないので、以下の栗原ちひろさんのboothでお買い上げください。
なお5/25現在初版完売で重版入荷待ちです。入荷お知らせメールとか登録してお待ちください。1500円ぐらいするし電子書籍なぞ存在しないんですが、ある一定の読書歴をもつ人間にとっては致死率のバフがかかる1冊です。

通販受付:栗原移動遊園売店 – BOOTH