7月はSNS周り、特にtwitterが落ち着かず移転先を探したり新しくアカウントを作った方も多いのではないか。私は去年のイーロン・マスクがTwitterを買収するというニュースを見た時に色々検討したが、「今のTwitterの使い方をしている限りはTwitterの代替はない」という結論に至り、ブログを整えていた。

私はたびたび「ブログをやらないか、Twitterで書いてるそれをコピペして文章の順番を変えたりするだけでいい。その文章であとで助かる命があります」ということを言っているので今回は「まとまった文章を書く上でハードルを下げる本」「推しへの愛を叫ぶ本」特集をします。
今夏も相変わらず「不要不急の外出は避けましょう、熱中症で死にます」と言わんばかりの灼熱の世界。「推し」(人間から会社やサービスまで、任意の応援している存在)について熱く語るのはどうでしょうか。
関連エントリ:推しに関する記憶を永遠のものにしようブログ活用編| colorful

書く習慣 いしかわゆき

文章を書くのは文才がセットで語られがちで、文章を書けない理由についてアンケートを取ると「自分語りになってしまいそうで嫌だ」と出てくるけど自分のために書いていいよ。自分の考えていることをうまく言葉にできないのは才能がないからじゃなくて単純に「思ってることを言葉にする」練習をしてないからだよ、という本です。
文章術というとビジネス文書とか学校のレポートとかそういう硬い文章向けが多いけどこっちはこっちはゆるいほう。文章が非常に砕けているので、対談形式で進むわけではないけど「人のおしゃべりを聴いている感覚」で読めます。

推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない 自分の言葉でつくるオタク文章術   三宅香帆

こっちはオタク特化です。

「推しの魅力を言語化するために必要なのは語彙力だと言われがちだけど本当に重要なのは『細分化』だ」とか「短文を中心としたSNSで推しについて語る上で重要なことは『自衛すること』だ」とか、読むと「あーーそれなーーー」って思うことが結構ある。

後者(自衛すること)について相容れない存在を先行ブロックするとかネタバレを踏まないために薄目でTwitterを見るとかそういうそういう話ではない。「自分の感想をかたちにする前に他人の感想を見ることによって自分の意見が出しにくくなる可能性」についてだ。
例えばこんな感想を見たとする。
・自分の感想とよく似ている(しかもなんか自分が表現力が高い、より解像度が高い、なんかイラストついてるなどの)感想
・自分は良いと思ったけど、周囲はどうもそうは思っていないようだ

こういう環境下でこれから書こうとする自分の感想が影響されないか?
「ほかの人が書いてるから自分があえて書く必要ないな」「この空気の中投稿できないな」とかそういうことにならないか?
自分の意見とは異なる空気が大いにあっても、自分の意見は守ろう何らかの形で残した方がいいという話であるけど、だからといって周囲と違う意見を表明するのは怖いことだと思う。そういう時は非公開日記(アナログの日記や誰からもフォローされてない/誰もフォローしていない検索にも引っかからないアカウント)という手段もある、と。
「推し」は時々スキャンダルからサービス終了まで色々世間を騒がせることがある。
他人に影響されることなく、好きな存在を好きなままでいるために「推しについての自分だけの言葉」を持っていることは重要なことだ。友達の発言を借りるなら「自分のすきを信じろ」だ。

ほかの面白かったのは
「推しを知らない相手に、推しの話をする上で、必要な距離(情報量について)」と、

自分がもやもやとした「好き」しか抱えていないときほかの人がはっきりとした強い言葉を使っていると、私たちはなぜか強い言葉に寄っていくようにできています。

という一文があって、マシュマロ等の二次創作お悩み相談でよく見るところの「村にある日あらわれたAさんの解釈が村全体に強い影響力を持つようになって」を一般的な話に置き換えるとこういう話になるのではとおもえて面白かった。

伝える準備 藤井貴彦

「思ってることを言葉にする練習」としてよく登場する手書きの日記。
「手書き」について「書く瞑想」「頭がすっきりする」とうたう本はたくさんある。
その中でこちらは「伝える」ことのプロ、日本テレビでニュース番組を長らく担当されている藤井貴彦アナの本。言葉の選び方、入社後ずっと書いている5行の日記の積み重ねが言葉選びの土台になっているという話。