#推しが幸せならOKです 常世かくり

魔法のiらんどからの書籍化。
社会人2年目の疲れたOLがとある金曜の夜、酒とつまみを買い込んでテレビを見ていたら衝撃的なニュース速報が流れてきた。
ムーンプロダクション所属の女性アイドルグループ、coc9tail(カクテル)が年内で解散するというニュースだ。そのニュースは瞬く間に広がり、SNSのトレンドは1位が「coc9tail解散」、2位が「王子大丈夫」だった。
王子とはデビューから1年でのぼりつめた国民的人気俳優、柊美聖(ひいらぎ みさと)のことだ。美聖はcoc9tailのセンター黛息吹(まゆずみ いぶき)のガチオタだった。
あらゆる場で息吹への感謝を口にし、確実視されていた紅白歌合戦では審査員席ではなく客席でcoc9tailのパフォーマンスを見た後拝むようにして泣き崩れていたところが抜かれ、SNSのアイコンは息吹のことしかつぶやかないし、俳優のアカウントというより息吹オタのアカウントにすぎなかった。

この物語は黛息吹のトップオタ、柊美聖が崇拝の対象だった息吹を人間の女性として見られるようになるまでのラブコメです。視点は基本男性(美聖)側で、時々は美聖のオタク視点もあり。
最近はジャニーズ事務所所属のアイドルがオタク趣味を隠さない事案(むしろそっちの仕事をとってくる)が結構ありますけど、あんな感じで、普段推される側にいる顔のいい男が推しを前にしてオタク文法で喋っているのは実に「令和の俳優×アイドルのラブコメ」だなあと思います。

殺し屋ダディ 栗原ちひろ

柳生哮(りゅうせい たける)と我藤朝比(がとう あさひ)は今は亡き殺し屋組織のボスだったオヤジの忘れ形見の4歳児犬星三也(いぬぼし みや)を育てることになった。
オヤジは偉大だった。オヤジは政治的に、もしくは街の治安に関わるデカい殺しだけを請け負ってきた結果誰が誰を殺したがったのかそれはそれはやばい「死者のリスト」が残り、オヤジの死後、そのリストは三也に受け継がれ、そのリスト争奪戦が発生するとみられた。
ただ、三也は「殺しは一切不可」ということを4歳児の語彙全力で伝え、柳生と我藤は「普通の3人家族」の生活を強いられる。
かくして東京と埼玉の県境の団地で、幼稚園への送り迎え、ごみ出し、料理、時々物騒な戦いが始まる。
物語には描かれていないことだけど、朝比は絶対山本ゆりさんのレシピをめっちゃ参考にしているということです。