オリンピック始まりましたね。とりあえず今環境音楽としてサーフィンの配信を流しています。今のところ競技中に突然推しが作った曲が流れたのが最大のハイライトです。ありがとうアメリカのアーチェリー選手。

ちょっと宣伝です。2010年に同人誌として頒布した「この少女小説がすごい!」をKindleで電子書籍として復刊させました。kindle unlimited対象書籍です。何分2010年当時の本で、絶版になっている本もあるので巻末に電子書籍有無リストも作りました。何を扱ってるかは試し読みで目次が全部読めるのでそちらでご確認ください。

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>おいしいベランダ 竹岡葉月

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完結おめでとうございます、のベランダ園芸からはじまったラブコメ。

大学進学といとこの海外赴任を機に一人暮らしをはじめた栗坂まもりは、お隣さんのイケメンスーツ亜潟葉二にひそかにときめいていた。
「時々話をするご近所さん」だった2人がもう少しお近付きになったのは栗坂違いでストーカーが警察沙汰を起こした深夜のことだった。夕食を事件のさなかに失い空腹のまもりは祝杯を挙げる予定だったという亜潟家に招かれた。
ベランダ農園からむしった野菜と半額の刺身でつくられた海鮮丼、具だくさんの味噌汁、蒸篭で蒸されたサラダと、インスタントではない温かいみそ汁にまもりは「わたしもこんなていねいな生活がしたかったのに」と涙を流し、葉ニは「お前は思い違いをしている」と多忙でこまめに買い物をするのは無理だけどちゃんとしたものを食べたいとうベランダ園芸沼一直線の話を聞かされる。

ライトな語り口で読みやすく、「隣に住んでいる人のごく当たり前の日常や人生の岐路」をのぞき見するかのような地面に足がついた物語。1巻は大学入学直後ですが、最終巻はそこから約5年ほど過ぎた話です。

電子書籍:○

ここからは「夏といえば」小説特集です。

トッカン 特別国税徴収官  高殿円

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夏休みっぽい本1。
中学校だったか高校だったか不確かですが、税金に関する作文を書かれていたなあという思い出。その辺の記憶と直結するのが本書トッカン。トッカンの舞台もこの作文の主催元も同じ国税局(の支店)。タイトルのトッカンとは「特別国税調査官」の略称であり税金警察「徴収官」の中でも特に悪質な滞納者をターゲットにする。

東京国税局京橋地区税務署の新米徴収官、鈴宮 深樹通称ぐー子は、国税局からの出向してきた特別国税徴収官の鏡 雅愛付の事務官として差し押さえ業務などに連れ出されつつ、税務署や事業所を訪問して一般市民からの滞納相談や督促などを行っている。

「悪どい滞納者と凄腕税務官」のようなわかりやすい2時間ドラマ的勧善懲悪構造ではない。確かに意図的に脱税している人物もいるが、消費税を払えず健康保険も払っていないから病院にもいけないカツカツの生活をしている自営業者も出てくる。

雲は湧き、光あふれて 須賀しのぶ

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夏といえば高校野球。今年は開催できているようで [1]それでも棄権せざるを得ない話はよく聞くがよかった。高校野球がテーマで、3編入りの短編集。

故障を抱え1打席だけバッターボックスに立てる超高校級スラッガー益岡と、自称「3年のヘタレ組」監督曰く走塁センスがある須藤の物語でこれはスポ根の王道。「ピンチランナー」

甲子園を目指すのは何も高校球児だけではない。
スポーツ専門の蒼天新聞社に入社して3か月、新人記者にとっては夏の地区大会は登竜門だ。埼玉県の強豪東明高校と1回戦で当たる三ツ木高校は毎年1回戦敗退の弱小校だと言われている……が泉千納(いずみ・ちな)は三ツ木高校のピッチングに驚き取材に向かう。「甲子園への道」

昭和9年にベーブルースと沢村栄治の一戦を観戦して野球に魅せられた少年。野球を愛し、甲子園を目指す彼に立ちはだかったのは戦争だった。「雲は涌き、光あふれて」

ちなみに3本目の表題作がお好みの方はぜひとも夏空白花をお読みいただきたい。

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夏の終わりに君が死ねば完璧だったから 斜線堂有紀

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夏の物語。平たくいうと難病ものです。

「多発性金化筋繊維異形成症」通称金塊病は発症後少しずつ筋肉が硬化し、骨に侵食されこの骨が金 [2]moneyではなくgoldに極めて近い物質へ変化する。そうして生まれた金は天然の金と並べても科学的に区別がつかない代物だ。
類のない病気のため国は献体を求めているが、人間が金に変質した場合もそれは「人間」なのかそれとも金と同じ組成をしているから「金」なのか。あまりにも価値がある物質である場合でも、遺体に値段を付ける付けないという発想は冒涜なのか、結局「金塊病患者の献体」は相応の金額が支払われることになった。その額、およそ3億円にのぼる。

片田舎の昴台の有り余る自然と停滞する経済を回すために、金塊病患者を収容・治療するサナトリウムが建設された。
少年江都はこのサナトリウム唯一の患者弥子と出会い、「自分にチェッカーで一度でも勝つことができれば遺産を相続させよう」と持ちかけられる。遺産とはつまり死後、この体が金塊に変わったあとの話だ。

これはネタバレのようでネタバレにはならないと思うし、そこで結構読むか回避するか決めると思うので書くんですが、奇跡は起きません。死にます。「人間の感情は証明できるのか?」「人生の正解とは」といった物語です。

DIVE!! 上下 森絵都

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オリンピック開催中なのでオリンピックを目指すアスリートの物語。結構昔の話なので彼らが目指しているのは「シドニー五輪」で、児童向け文学としてまず刊行され、大人にもおすすめだと角川文庫入りした後もアニメになったり舞台になったり割と最近ドラマにもなったりして円盤発売を控えていたりと、何らかの形で触れたことがある人もいるかもしれない。

物語は存続の危機に立たされた弱小ダイビングクラブに所属する高飛び込みの少年たちが主人公。クラブ存続のための条件はオリンピック出場。高飛び込みって普通に生きているだけではおそらく触れることはまれな競技で、もしかしたら地元ローカル枠で有力な選手がいたら競技のシーンを見るかもしれないっていうレベルなんだけど、競技のシーンがすごくいいんだ。
青春をかなぐり捨ててスポーツに打ち込む3人の少年の成長・葛藤・意地の張り合いとかそういうのが好きで、今まで読んだことがないっていう人にはぜひとも読んでほしい1作。

References

References
1 それでも棄権せざるを得ない話はよく聞くが
2 moneyではなくgold