スターリッシュツアーズで踊り、体調不良でくたばっていたらあっという間に9月が終わろうとしている。

地方ではそろそろ上映回数が減っている頃と思いますが、まだ絶賛上映中なので「そういえば10年ぐらい前ニコニコ動画でマジLOVE1000%をよく見てたよ」みたいな人はぜひ令和のマジLOVE1000%をご覧いただきたいです。

千年鬼譚 緋色の鬼神と転生の乙女 神尾あるみ

農学部2年生の鈴鹿涼音は両親を亡くし、真面目に大学に通う傍らバイトや何でも屋稼業にも精を出している。彼女には時間がかかっても買い戻したいものがある。今日ようやく2番目の夢に手が届いた。質入れしている数々のものから鈴鹿家の家宝の剣を再び手に取ることができた。
愛車のカブで帰宅中、一方通行の狭い道を猛スピードで駆けてくる黒バイクに遭遇し間一髪事故を逃れた。が、対向のバイクから転がり落ちてきたものを見て涼音は息を呑んだ。
角が生えた生首だ。生首は千年の眠りについていた自称平安最強の鬼神大嶽丸だという。
衝撃の出会いから一夜が明け、涼音の自宅までやってきた昨日のバイク男の襲撃を交わし、自分が首を斬られたのは鈴鹿山だが体はこの近辺にあるという大嶽丸の言葉のままに横浜の街を駆り2人はついに大嶽丸の体を探し当てた。
それは同時に新しい事件を連れてきた。
警視庁公安部を名乗る男女が現れ大嶽丸を再び封印すると言い、大嶽丸1000年前に自分を殺した女が涼音で、大嶽丸の体に刺さっている短剣は、前日に涼音が買い戻した剣と同じ鉄で作られた姉妹剣だという。

ここがメインではないんだけど、「過去を取り戻す」ことに集中して衣食住すべておざなりになっていた涼音が、意外と手先が器用で凝り性でセンスがある大嶽丸と過ごすことで変化していく様子が良かった。具体的にはシンカンセンスゴイカタイアイスを食べるシーン。

マーブル 珠川こおり

都会にあこがれて一浪してまで入った都内の大学に通う茂果(もか)の毎日は思っていたようなものではなかった。友達は少ないしその少ない友達のひとり、由紀ともうまくやれていない。友達と過ごすぐらいなら家族との時間を増やしたい。上京して足の悪い祖母と弟の穂垂(ほたる)と暮らす毎日だ。
穂垂はアニメの「ヒライス」が好きで、絵を描いてはTwitterにあげている。茂果はアニメのことはよくわからないが、穂垂の絵は好きで毎日見ている。ある日由紀から「好きな絵師の別アカが腐向けで逆カプだったんだけど、この解釈は最高すぎるわ」と見せられたイラストの絵柄がどう見ても穂垂のそれだった。穂垂がBL好きだったとは知らず混乱しながらも本人に直球で聞いてみた。
本人に聞いてみるとあっさり「茂果ちゃんが知ってるアカウントはオールキャラ用でメインは腐向け」だと答えた。
以降茂果の心境は穏やかではない。由紀は腐女子だし、恋人の朗はバイだ。何にも気にしてなかった。それがいざ弟がBLを好み、自らも生産するタイプのオタクだったと知ったら「弟は同性愛者なのだろうか。弟には普通に女の子と付き合って結婚して普通の幸せを手に入れてほしい。男が男を好きになったらもう救いがない。子どもは生まれないしこの先はない」と驚くほど視野狭窄になっていく。
私は穂垂側の人間なこともあり、茂果の発想や言動は押しつけがましいと感じるんだけど、この感情はどこに行きつくんだろうと思って最後まで読んでしまった。
ちなみに穂垂と由紀が大好きなアニメこと「ヒライス」は既刊18冊の漫画原作のアニメで、どういう作品で穂垂の推しカプがどういうものなのかかなり描写されるので、「知らないアニメの布教を受ける」感覚を体験することができる。